蚕 空を飛ぶ

 

羽を伸ばすことなく死んでいくのが蚕だけれど、

昨晩、私に映った光景は・・・夜空に白い羽をひろげ、羽衣のように飛翔していく蚕の姿。

 

やはり、「天の虫」なのだと・・・

・・・・どうしてだか、泣けて泣けて・・・涙、ぽろぽろです・・・

 

飛びたかったのでしょう・・・無理だとわかっていても

飛ばせてあげたかったのでしょう・・・一度だけでも

 

 

 

「お蚕さん」を世話しているおばさんの笑顔が近づいてきます。

「た~んと、お食べ」新鮮な桑の葉を山盛りおいてくれます。

 

カイコはおばさんの笑顔見たさにいっぱいいっぱい葉をたべます。

 

日ごとに大きくなる体をいとしそうに持ち上げて、身の回りの世話をしてくれるおばさん。

大きなフンをたくさんすればするほど、喜んで掃除してくれます。

 

カイコは知っています。自分が繭になった段階で人生が終わることを。

その先運良く、卵を産む役割に選ばれたとしても、空を舞うことは叶わぬことを。

 

そして、自分の吐くものが珍重され、高く評価され、

やがて宮に献上されるほどの生糸、そして、永く愛される着物になっていくことを・・・

 

カイコは自分の意思で、何度も何度も蚕に生まれ変わります。

また、あのおばさんの笑顔に逢いに。

そして、もっといい仕事をして、おばさんが豊かになってまた笑ってほしい・・・

 

 

いっぱい食べて、ていねいに吐く・・・それが、自分の仕事の全てだと知っています。

 

 

 

・・・おばさんが両手にのせた蚕を、月明かりにさしだします。

 

もう息はないかもしれません・・・

 

おばさんは天に向かって願いを込めてさしだします・・・

 

 

きっと、

おばさんにもその蚕の飛び立つ姿が、映ったことでしょう・・・

 

 

 

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    あおうさぎ@raoyagi (水曜日, 12 1月 2011 18:19)

    風景が自然と浮かび、思わず泣いてしまいました。
    祈りがあります。

    とてもよいチャネラーになられたんだなぁと嬉しくなりました。
    これからもたくさんのメッセージを届けてください。
    又、戸隠にも遊びに来てくださいね。

  • #2

    noriko (水曜日, 12 1月 2011 22:03)

    あおうさぎさんへ
    ご無沙汰しています。
    お褒めいただき、素直にうれしいです。
    以前、歌でご一緒した際も、ほめてほめて伸ばしていただいた覚えがあります。
    いつも、温かく見守ってくださりありがとうございます。
    戸隠、行きたいです!