「懐かしい・・・」この作品を観終わってまず浮かんできたのはこの感情でした。
この表情・・・ナウシカの表情にそっくりだ
壁を垂直に登るアクションは・・・パズー
このかわいらしさは・・・まっくろくろすけ
この淡々とした夫人像は・・・紅の豚のジーナ
このおどろおどろしさは・・・もののけ姫
このばあさんたちは・・・千と千尋で会ったよね
この声は・・・ハウル、この顔は・・・ユパ様!
このアオサギの足は・・・ポニョの足だね
この洋館の内装は・・・アリエッティ
この戦争描写は・・・風立ちぬ
この廃墟の塔と少女は・・・マーニー
(途中、カリオストロの銭形警部か!と見間違うシーンもあったよね)
走馬灯のように思い出されてくる、その時代時代にわたしが観てきたシーン
古布のパッチワークのように
古い写真をあつめたアルバムのように
この作品の中に、
これまでのジブリの描写技術のすべてを盛り込んで
観る人のこれまでをも
フラッシュバックさせてくれる総集編のような作品。
最後、ほんのりと胸があたたかくなる終わり方をしてくれたのが、せめてもの救いかな。
エンディングの米津玄師さんの「地球儀」もとても合っていて、沁みました。
この歌でさえ、ラピュタのエンディング曲のオマージュのように感じるくらい、合っていました。
中2の春休み、ナウシカを映画館で3時間以上も並んで観て以来、必ず劇場に足を運んで観てきたジブリ作品。
わたしの青春そのもの。人生に沿って、映画館の場所も横に座る人も違っていて。だからこそ、作品ごとにそのときわたしが見つめていた人が浮かび上がってくる。
ジブリの作品とは、わたしにとってはそのようなものだった。
39年間、ありがとう。
そして、人生の閉じ方をひとつ見せてもらったようにおもいます。
もうひとつ、「懐かしさ」を感じたのは、この作品の中で描かれたパラレルの世界観
「この世界、知っている・・・」「この世界に わたしもいたなぁ」という感覚なのだとおもいます。
寝ているとき夢の世界でわたしは精一杯生きていて、目が覚めると、その世界のことをすっかり忘れて「この世界」に尽力している
目をつむるたびに「その世界」と「この世界」を行き来していて、きっと皆そうなのだと思うけれど
つい忘れてしまうその事実を想い出させてくれるから、あ、そうだったなって、懐かしい感じがするのかな。
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そして、懐かしさとは逆の目を見張るような新しさを感じるシーンもありました。
アニメの描写もここまで来たんだという、圧倒的なライブ感!土の感触、におい、熱に包まれるような感覚・・・
1987年に「オネアミスの翼」を劇場で観たときの衝撃と同じものを感じたんです。(なんじゃこりゃ!と、ありえないほどの美しい映像に、これを人の手で作り出したのかと圧倒された日のことを想い出します)
きっと日本のアニメには限界はなくって、これからもどんどん進化してわたしたちを驚かしてくれるのだろうと、そんなふうに感じることができた映画でもありました♪
ご馳走様でした!
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